AL Wild Card Game: Royals 9-8 Athletics
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ずっとこの写真の瞬間に心を奪われたまま戻ってこれない状態になっていた。
現実が想像を超えていくことなんて珍しい話じゃない。それでも、そんな瞬間を目の当たりにしたらやっぱり圧倒されてしまう。見えざる力が働いた? 29年間の想い? そうかもしれない。しかし、このチームが全て出し切ってゲームを戦った事を忘れてはいけない。本当に一滴残らず全て絞り出した。良いところも悪いところも、全部曝け出し裸になって戦っていた。
傍から見れば間抜け以外の何者でもない初回の走塁だが、あれはランナーが誰であろうとも我々はランニング・ゲームを仕掛けていくんだという、チーム内外に向けたNed Yost監督の宣言だったし、Eric Hosmerや青木 宣親はロードのゲームならブーイングに晒されような間でタイムを取り、Jon Lesterのテンポを乱しに掛かった。やれる事は全てやるんだと、序盤からチームは示して見せていた。どの場面でも、あえてやらないという選択肢は持っていなかった。
15安打して長打は2本だけ。44打席で四球は3つ。送りバントは4度。プレーオフ記録に並ぶ1試合7盗塁。
これでもかと言うくらいRoyalsらしさが詰まっている。ずっとSABR的なものに対して唾を吐きながら戦ってきた。監督のNed Yostは30年昔からタイムマシンに乗ってやってきた男だ。そんな風にも言われている。
そのRoyalsらしさが最もよく現れたのは1点を追う9回裏の攻撃。
Josh Willinghamのヒットから、Alcides Escobarが送りバントを決める。1アウト2塁。
1ヒットで充分帰ってこれる場面にも拘らず、代走のJarrod Dysonはサードに盗塁を決める。
信じられない。ギャンブルだ。
まあ誰もが思うそうだろう。でもこれがこのチームのやり方だ。0, 1アウトで何とかしてランナー3塁の状況を作る。そこから積み重ねた得点はMLBでも3番目に多い190点。得点率で言うとトップの57%だ。内野ゴロでも同点にできる局面。その状況を作れば、コンタクトに優れた青木 宣親なら上手くやってくれる。いつものように自分達らしく振舞った結果、あの同点劇は生まれたという事だ。
そうそう、このゲームとは無関係だが一つ付け加えておこう。Royalsは2アウトからでもサードへ盗塁を試みるクレイジーなチームだ。ワイルドピッチやパスボールで1点を狙う方が、ヒットを待つよりも良いらしい。ランナーをためてBrandon Mossの2本のHRで得点を重ねたAthleticsとは対照的すぎる。
Ned YostがJames Shieldsを6回の場面で諦めたのはワンゲームプレーオフでは妥当な判断。
低めの変化球に対してA'sのバッターは良い見極めを見せていたので、難しいマウンドになっていた。主審Bill Millerの広いストライクゾーンにずいぶん助けられていたが、あそこが限界だという決定に異論は無い。本来ならAaron Crowが出てくるイニングだが、最後まで状態の上がらないシーズンを過ごしたため、ワイルドカードゲームのロスターからは漏れている。つまり、あらかじめゲーム前の時点でJason Frasor, Brandon Finnegan, Jeremy Guthrie, Danny Duffy, Yordano Venturaの誰かがAaron Crowが担っていた役割を任される事は予想できた。奪三振の欲しいあの場面、消去法でいくならJeremy Guthrieはまず消える。Jason Frasorは有力な候補だがAaron Crowより少しLeverageの低い場面を持ち場としてやってきた。
残るのはBrandon Finnegan, Danny Duffy, Yordano Venturaの3人。誰が出たとしても難しい場面になる。それでも誰かが登らなければならないマウンドだ。Yordano Venturaには厳しい結果が残ったが、近視眼的にあの継投だけを見てものを言っても意味が無い。
過去にも何度か書いてきたが、あれはチームが今シーズン抱え続けた弱点を曝け出したシーンに過ぎない。継投云々よりも、パフォーマンスの上がらないAaron Crowの代わりになる存在を最後まで見つける事ができなかったDayton Moore, Ned Yost, Dave Eiland, それぞれのマネジメントが批判するべきポイントだ。このゲームで最高のピッチングをみせたBrandon Finneganが問題の解答になる可能性を示したが、そうじゃなければALDSを戦う際もチームのアキレス腱になる。
もう一度。良い面も悪い面もすべて出し切った。
最後の瞬間は、今でも言葉にはできない。だからビデオを貼り付けて終わりにしよう。
1:24秒あたりから、シーズン中Royalsのゲームを担当しているRyan Lefebvreの実況で観る事ができる。
またこんなゲームを観られる日は来るのだろうか。