AL Championship Series Preview
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共にALDSをスイープして突破したRoyalsとOrioles。2000年以降のAL通算負け数ワースト1と2がALCSを争うことになった。この両チームがポストシーズンで対戦するのは史上初めての事。
怪我でManny Machado, Matt Wietersをラインナップから欠き、ローテーションにも絶対的といえるような投手が不在というOriolesがシーズン96勝を挙げた背景には、2Aまで含めて75人ロスターだという言葉の通りデプスの強さがあったのだろうが、それでもAL東地区を独走してきた事には驚かされた。
そのO'sを率いるBuck Showalter監督は得点の生み出し方を問われ、以下の言葉を引用している。
"When I'm in the batter's box, I am in scoring position." - Oscar Gamble
ランナーの有無にかかわらず、打席は常にスコアリングポジションとなる。なるほど、Oriolesのオフェンスを説明するにはうってつけかもしれない。今シーズンO'sが記録したチーム211HRはリーグ最多。Elias Sports Bureauによると、全得点(705)の47.8%がHRから生まれている。もちろんこれはMLBで最も高い数字。他に40%を超えているのはAstrosだけという話だ。Royalsは今更言うまでも無いが95本でリーグ最少。
Buck Showalterは攻撃に関しては、動く事を好まないタイプの監督に見える。
チーム44盗塁はリーグ最少。Baseball Prospectusのデータによるとスイング時にランナーが動いた回数205回、インプレー時にランナーが動いていた回数60回も共にリーグで最も少ない数字を残している。塁上のランナーを動かしてスコアリングポジションを作るより、打者の長打を待つといったところだろう。なるほど、数字を見ればOscar Gambleの言葉を引用した理由が理解しやすくなる。
一方のRoyalsはリーグ最多の153盗塁。ポストシーズンの4試合で決めた12盗塁はO'sのシーズントータルの27%になる。スイング時にランナーが動いていた回数344回はリーグ2位、インプレー時に動いていた回数112回はリーグトップ。両チームのランニングゲームに対する考え方は完全に異なるといえよう。
打席で四球を選ぶ意識は両チーム共に高くはない。6.3BB%でリーグワーストのRoyalsの対して、Oriolesも6.5BB%でリーグ2番目に低い数字を記録。BB/Kも共に平均かそれ以下と強みにはなっていない。とはいえ、これだけで両チームのプレートアプローチに類似性があるというのは早急だ。アプローチはBB/Kだけでは見えてこない。確かに、Adam Jonesはどのようなピッチカウントであっても、ゾーンにボールが来たらそれを打ち返す必要があると語っている。これはRoyalsと似ている部分だ。球数は問題にしない。Pit/PA(打者一人あたりの投球数)もO'sが3.80でRoyalsが3.74と共にリーグアベレージ以下と数字的にも近い。異なる部分はフライボールへの意識。ティーバッティングからO'sの打者はフライボールを打ち上げるよう取り組んでいる。ゲームでもリーグ2番目に高い37.1%のFB%を記録。フライボールを避けるRoyalsとは正反対の取り組みだ。このように、両チームのアプローチは似ているようで違っている。
シリーズ初戦にBuck Showalterが選んだのはChris Tillman。シーズン中にも少し話題になったが、2013-2014シーズンで44先発登板連続で盗塁を許さなかった投手だ。これはOriolesのフランチャイズレコードにもなっている。ポストシーズンに入って俄然注目を集めだしたRoyalsの盗塁に釘を刺すという意味では、O'sとしてこれ以上無いうってつけの存在だろう。もちろん長打力に乏しいRoyalsはスコアリングポジションを作るために走るわけだが、上でも見た通り打者との連動も多いチームだ。盗塁だけでRoyalsの走塁やオフェンスプランを語るのは間違い。0または1アウト3塁という形を作るためにゲームでどのような選択肢をとるかが見所だ。それさえ出きれば0盗塁でも構わない。0,1アウトから3塁ランナーが記録した190得点はチームの全得点の約30%で比率は3.4となり、リーグで最もそのシュチュエーションを上手く利用しているチームだということは抑えておくべきポイント。もちろん、2~3点より1点というプランでゲームを進めるつもりなら、これまで同様、相手より多くのチャンスを作る必要はある。
スカウティングに長けているというOriolesは、ポストシーズンを通じてRoyalsオフェンスの主役になっているEric Hosmerを相当マークしてくるだろう。ALDSで冴えなかったSalvador PerezやOmar Infanteの復調に期待したいところだが、外の変化球を我慢できなければ二の舞を踏みそう。短期決戦で穴を攻め続けられるのは厄介極まりない。
Royalsのシリーズ初戦のスターターはJames Shieldsが予定されている。
ポストシーズンの2先発で3HRを許しているJames Shields。シーズンのHR/9は0.91で、リーグアベレージの0.86より大きい数字が残っている。O'sの打者は積極的に振ってくるので、カウントにかかわらず不用意にホットゾーンへ投げ込む事はあたりまえだが厳禁だ。Oriolesの打者全体でみるとチェンジアップに対するバリューは-8.9wCHと低く出ており、これはShieldsにとって好材料といえる。
ブルペンに関してはこのシリーズも6回がキーになる。おそらくBrandon Finnegan, Danny Duffyあたりが登板する事になるだろうが、ALDSで見せた両者のパフォーマンスが満足できるものだった事はRoyalsにとってポジティブな要素。Oriolesのブルペンも3.10ERAに3.54xFIPと優秀な成績を残している。スターターはFB%の高いタイプが揃っているが、ブルペンはGB%の高い投手を揃えている。このブルペン相手に長打による得点は難しいだろう。先発とリリーフでタイプの異なる投手編成をしているのは上手いやり方にみえる。
Royalsがシリーズを制すれば1985年以来、O'sが進む事になれば1983年以来のワールドシリーズになる。